わたしは貝になれない

人生の偏差値50

ゾンビ、夢、自由研究

幼い頃からゾンビが大好きだ。

特にジョージ・A・ロメロの「ゾンビ」が滅茶苦茶好きである。

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小学生の頃、レンタルビデオ屋で自分があまりにも毎回ゾンビ借りようとするので、母親から「お願いだから他のを借りて」と懇願されるくらい心酔していた(ちなみに「クリープショー2」も好きで頻回に借りていたのだが、この作品もロメロが関わっていたと成人してから知り、不思議な縁(?)を感じた)。

幼少期はストーリーをよく理解していなかったし、登場人物たちの関係性もなんとなくしか把握出来なかったが、成長とともに曖昧だった点が補完されていき、自然と全体像を掴んでいくことが出来た。観る度に新しい発見があった。

太って暗くて毎回ゾンビ借りる小学生なんて、将来「絶歌」出版しそうな不穏さ漂うが、自分は決して猟奇趣味なわけではない。むしろ苦手である。じゃなんでそんなゾンビが好きかって言うと(誰にも聞かれてないが)、バリケード築いてからの「箱庭感」というか、「ひょっこりひょうたん島感」が堪らんのである。

 

ゾンビものの定石だが、何らかの理由で地域あるいは全世界的にゾンビが溢れ、命からがら助かった人間たちが協力してバリケードを築く。学校とか軍の施設とか、立て籠もる施設は色々だが、ここはやはりショッピングモールが良い。武器も食料も何でも手に入るし、セキュリティーもそこそこ。

犠牲を出しつつも何とか店内のゾンビを倒し、ドアをロックし窓を補強して、つかの間ほのぼのした生活を送るのだ。高い酒飲んだりファッションショーしたり、ちょっといい感じになった相手とセックスしてみたり(リメイク版)、外に大勢たむろするゾンビを的に射撃してみたり。

結局最後はゾンビが雪崩れ込んできてどうにもなくなるが、そこに至るまでのひょうたん島的なほのぼの感が堪らん。薄氷の上に築いた平和と言うか、長続きする筈ないとみんな確信してるけどどうしようもない、仮初めの幸せと言うか……。この時間がいつまでも続けば良いのに!てみんなが切実に思ってるって、なかなかないんじゃないですか。そんな幸せで平和な生活が呆気なく崩れる悲劇の瞬間に、大きなカタルシスを感じる。動く死人に生きたまま食い殺されるって、ほのぼの生活との対比がエグ過ぎる。

 

当時は3部作だということも知らずに、偶然一作目の「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」も観ていたが、二作目の「ゾンビ」に比べると地味に感じた。立て籠もるのも普通の民家だから安心感なくて焦りっぱなしだし、ストーリーがあまりに暗すぎる。あと、白黒というのもあって子どもにはまだ早かった。三作目の「死霊のえじき」はそもそもレンタルビデオ屋に置いてなかったと思う。

大人になってから上記の3部作に加えて「ランド・オブ・ザ・デッド」、「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」、「サバイバル・オブ・ザ・デッド」もシリーズはリメイク版も含めて全て観たが、やはり自分のベストはオリジナルの「ゾンビ」だなと思う。

バタリアンショーン・オブ・ザ・デッド、28日後、ゾンビランドロンドンゾンビ紀行、ゾンビ自衛隊、ゾンビワールドへようこそ、REC、などなど   いまブームだし、面白いなこれと思うゾンビ映画は数あれど、自分の原点はロメロのゾンビにある。未だに1年に3回は観てしまう。

「ランド〜」のメイキング映像を観て、ロメロ煙草吸い過ぎだろ大丈夫かよと思ってたら去年肺癌で死んじゃって、自分の長い青春が終わった感があった。淋しい。

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話変わって

自分は大人になってからも夢をよく見るのだが、大抵が悪夢で、ゾンビはNo. 1の常連である。次が汚いトイレとゴ○ブリ(口にも出したくない)で、場合によっちゃ御三家勢揃いの悪夢もある。

大学生の頃、あまりに暇すぎて「人はどんな内容の夢をみるか」という自由研究をしてみようと思い立ち、大学の友人は勿論、高校時代のクラスメイトにも電話をかけ、さらに大学構内でも全然知らん人に声かけてアンケートをとったりした。こんなことばっかりしてたから就職出来なかったのだろうと今は思うが、当時はどうかしていた。実際、大学構内でアンケートを取ったときは、

「(夢は)全然見ませんね……あの、ちょっと次の講義があるんで」

みたいに、完全にどうかしてる人に対する態度で目も合わさず、殆ど答えてもらえなかった。

しかし、友人たちからは色々いい話を聞かせてもらうことが出来た。

子供の頃は夢をよく見てたけど、大人になってからは少なくなったなって人が大半だったが、自分のようによく見るし大抵悪夢って人も何人かいた。

 

「実家に続く道の両端に鯨幕が張ってあって、実家では誰かの葬式をしていた」

「台所の真ん中に汚い沼があって、何故か自分はそれを風呂だと認識していて、いやいや入る夢」

「二階の自分の部屋まで、一階からゆっくり雪女が階段を昇ってくる(姿を見ていなくても何故か雪女だと知っている)」

「高校の校舎が全焼し、クラスメイトが全員焼死したはずだが遺体が見つからない。自宅に帰って押入れの襖を開けると、見つからなかった焼死体がギチギチに詰め込まれてて、自分に覆いかぶさってきた」(怖すぎる)

etc

 

人間の想像力には恐れ入る。うっすら不気味なものから、文句なしに恐ろしいものまで様々である。

夢の話って話題としては嫌がられることが多いが、自分は好きなのでどんどん聞かせてほしいと思っている。

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余談ではあるが、大人になってから自主的に行う自由研究は非常に面白い。嫌々だったから題材が全然思いつかず、最終的に母親監修のもと「コーヒーゼリーの作り方」という流石デブといった感想しか持てない自由研究(研究ってなんだ)を2年連続で提出していた小学生の頃とは大違いである。

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上記の夢の研究は(友達少ないので)サンプルが集まらず頓挫したが、他には「コンビニで売ってる男性向けエロ漫画雑誌(快楽天とかペンギンクラブ)の研究」と称して、ズプッとかヌチュッとかの擬音語を正の字で一生懸命数えてみたり、体位や淫語の種類を調べてみたり、字だけじゃ寂しいから絵も入れよ〜っと★てなノリで、敢えて絵が下手くそな奴にエロ漫画の一コマをフルカラーで模写させたりした(研究ってなんだ)。

「なんで股間の汁気を水色で表現するんだよ!」とか煽りながら、作ってる方は腹抱えるぐらい面白かったが、手伝わされた人は勿論、出来上がったレポートと言う名のゴミを「誕生日が近いからプレゼントです」と一方的に送りつけられた友人は、一体どんな気持ちだっただろう。

こうして自分の周りから人が消えていく。